生地(布)の表面の繊維の毛羽を出す処理のことを「起毛」と呼びます。
針布やあざみを巻いたローラーを回転させて、その上に布を走らせて生地の表面のスパン糸から繊維を引っ掻きだします。
その毛羽を一定の長さに刈り込んで平滑にする(刈り揃える)ことを剪毛といいます。
剪毛はスパイラル状の刃を高速で回転させるシャーリング機にておこなわれます。
起毛加工でできた毛羽を、一定の長さにカットする機械です。
起毛は
などの効果があります。
織物組織からみると、緯糸(よこいと)に甘撚り(あまより)の糸使い、表面に緯糸を多く出すような組織の方が毛羽立ちは多くなる傾向です。
起毛するには古くはアザミの実(チーゼル)を使い、その刺(とげ)先で織物の表面を何回もこすって毛羽を立てていました。
日本でも江戸時代後期に紀州(和歌山県)で盛んに織られた紋羽(もんぱ)などの綿織物を毛羽立たせるために、松葉や縫い針を束ねて織物の表面をこすり起毛する方法がみられました。
近代に入って、起毛機械はアザミの実をドラムにはめ込んだ「あざみ起毛機」と起毛用針布を使用した「針布起毛機」、ナイロンブラシ起毛機などを使っています。
そして起毛工程には「乾燥起毛」と「湿潤起毛」などがあります。
湿式は乾式に比較して起毛効果が良く、ネルや紡毛織物などに多く用いられますが、各々目的に応じた適当な方法が使われています。